山と温泉の旅 宝鉱山跡から本社ヶ丸
 
山行データ
歩行距離 14.1km
標高 1630m
最大標高差 925m
 行動時間
日帰り 7時間15分
 
2010年12月12日(日)
宝鉱山バス停
2.6km 8:15
9:35
鉱山跡
1.7km 9:40

ヤグラ
0.5km 11:40

角研山1377m
2.2km 11:55
13:10
本社ヶ丸1630.8m
0.9km 13:25

清八山1593m
0.9km 13:50

鉄塔巡視路分岐
5.3km 14:00
15:30
宝鉱山バス停
 
 

 冬場に向けての足慣らしのつもりで、先週、先々週と、大月から御坂山塊への尾根を辿ってきたが、もう少し先へとつなげて歩きたい。先週の鶴ヶ鳥屋山からさらに西へ進めば、山梨の秀麗富嶽12景に選ばれた本社ヶ丸がある。本社ヶ丸から山方向へ尾根は分岐していて、まっすぐ西に進めば本格的に御坂山塊へと踏み入れていく。左の稜線を辿れば三ツ峠山。右の稜線を辿れば笹子峠。
 しかし、これまで尾根筋に寄り添うように続いていた中央本線も、このあたりから右へ急カーブして笹子トンネルから甲府へ離れて行ってしまう。交通の便が不便なのである。考えられるルートは、笹子駅から本社ヶ丸に登り、天下茶屋に出てバスに乗るか、自家用車で行ってループコースにするか。

 調べているうちに、先週鶴ヶ鳥屋山のそばにあったヤグラは、宝鉱山という鉱山の設備だったことが分かった。宝鉱山とは、なかなか夢のある名前だが、経営は苦しかったようだ。戦時中になるとさかんに鉱石を掘ったようだが、戦後は他の多くの鉱山と同様に消滅していったらしい。閉山後は、鉱山跡から流れる川が鉱毒に汚染されたため、今でも中和施設の維持が欠かせないそうだ。しかしそのおかげで川には魚が戻り、生態系が生き返ったとか。

 鉱山跡が鶴ヶ鳥屋山の南斜面に残っている。そこからまっすぐ尾根へとケーブルが続き、尾根にあったヤグラまで続いていたそうだ。登山道は無いがなんとか登れるらしい。

 そこで今回は、尾根の南面の宝鉱山バス停から鉱山跡を経て支尾根を登り、本社ヶ丸から三つ峠方面に折れて鉄塔巡視路から元の宝鉱山バス停へもどるループコースを行くことにした。

 


宝鉱山バス停まで行くと、大きな無料駐車場があった。目前には三つ峠山が見える。
こちらは鶴ヶ鳥屋山。
宝鉱山バス停。
朝の便は平日のみ運行。土日祝日は、12:50、16:00分の二本しかない。
麓には宝の山ふれあいの里というキャンプ地があった。季節外れで人気が無いが、良く整備されていてシーズンには賑わうのかもしれない。
バス停の正面からふれあいの里へと入っていく。
きれいに整備された広場。
人気のないバンガローを歩いていると、近くで犬が吠えかかる声が聞こえた。鎖につながれているのでほっとしたのもつかの間、10匹くらいの子犬たちが懸命に駆け寄ってきて、たちまち取り囲まれてしまった。

必死になってまとわりついてくる。どうやら腹を空かせているようだ。管理人はいるようなのだが、どうしたのだろう。見かねて非常食のカロリーメイトなどを分け与えてしまった。
御座石。説明板によると、日本武尊と関係があるそうだが、何の変哲もない岩である。
宝鉱山の共同浴場跡。
とはいっても岩があるだけだ。ここに共同浴場があったのだろうか。
ムササビタワー。
あまり多くの施設があるわけではないが、自然がたっぷりで、子供連れで遊びに来るには手頃な場所なのかもしれない。
鉱石のガラ山らしい。
ふれあいの里を後にして、さらに林道を登っていく。
この上に鉱山跡があるはずだが、ここまで来る酔狂な人はいないらしい。
鉱山跡かと思ったが、当時鉱山へと登るためのトンネルだったらしい。中は空気が悪いので入ってはいけないと聞いた。
大きな堰堤に突き当たった。
これが鉱山跡かと思ったが、まだ新しく、当時のものではなさそうだ。中から黒いパイプが引かれ、水が流れる音がする。
おそらくこの上の鉱山から流れた地下水を集めて中和施設へと送るためのものなのだろう。
堰堤に階段が付けられていて、上へと登ることができる。
堰堤の途中からパイプがつきだしている。
これも中和施設の一部だろうか。
鉱山跡らしいところに出た。
露天掘りだったのだろうか。
かつて、多くの鉱夫たちが岩を削っていたのだろう。今はひっそりとして訪れる人もない。
鉱山跡の正面に急斜面が立ちはだかる。
登れないほどの坂ではないが、風化した斜面はずるずると崩れる。一歩ごとに足場を固めるように靴を蹴り込んで登っていく。
もう少しで緩斜面に出られそうなのだが、風化した岩がぼろぼろで、足を滑らせればそのまま滑落してしまいそうだ。
登るのを断念していったん降りることにした。
たまたま持ってきていたロープを出して慎重に降りていく。ロープ無しにはちょっと降りられない傾斜だ。
今回に限ってロープを持ってきていたのは虫が知らせたのだろうか。
この上は緩斜面なのだが、最後のひと登りができなかった。後で地図をみたら、鉱山跡の真上の崖マークのところを登っていたらしい。
崖を左に巻いて、やや斜面が緩やかな坂を登っていく。
当時のガイシだろうか。
こんな急斜面に工事をするのは大変だったのだろう。
崖の上から右へトラバースすると、尾根上のヤグラへ続く支尾根に出た。やっと歩きやすくなった。
鉱山跡から右を巻けば素直にここに出られたらしい。
支尾根を登っていくと、点々と崩れかけたヤグラが残っている。やはりこの支尾根から鉱石を引き上げていたのだろう。
鶴ヶ鳥屋山からの尾根に乗ると、先週見たヤグラがあった。
鉱山探検は終わりにして、縦走の再開である。
先週辿った角研山を過ぎると、雪が積もり始めていた。
送電線鉄塔が尾根を横切るあたりは展望が開け、陽だまりが暖かい。本社ヶ丸はまだ先だが、ちょうど12時なのでここで昼食を食べることにした。
南側には三つ峠山。大月から見た姿からはだいぶ大きくなってきた。
今日の昼食は、おにぎり、たくわん、それからコンビニで買ったオニオンスープ。
スープに添える野菜が少しあるとさらに良かったか。
次第に雪深くなる山道を進むと、30分ほどで本社ヶ丸に到着した。


正面の尾根は笹子峠へと続く尾根。
正面奥に丸いピークを見せているあたりに達沢山があるはずだ。

せっかくの秀麗富嶽12景だが、今日の富士は雲と靄に隠れている。
すっかりお気に入りになった、スターバックスの粉末インスタントコーヒーで一服。
山頂を後にすると、ところどころ細い尾根が続いているのが見える。
清八山から左へ折れると、正面に大幡山。
この向こうに三つ峠山がある。
大幡山の手前の鉄塔巡視路から、元来た宝鉱山バス停へと下る。
すっかり雪に覆われている。今シーズン初めての雪山だ。
ときどきひやりとする雪の斜面を過ぎると、すっかり雪は消えてしまった。
巡視路が終わって林道に出た。
しかしまだ先は長い。
1時間ほど林道を歩いて疲れたころ、鶴ヶ鳥屋山が見えてきた。駐車場は近い。
今回も帰りがけに芭蕉月待ちの湯に立ち寄った。

 
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