山と温泉の旅 越後の未丈ヶ岳
 
山行データ
歩行距離 12.7km
標高 1552.9m
最大標高差 950m
 行動時間
1日目 8時間40分
 
2011年10月9日(日)
泣沢登山口
1.9km 6:00

三ツ又口
2.0km 7:35
8:40
974峰
1.2km 8:50

1204峰
1.1km 9:30
10:30
未丈ヶ岳
1.8km 11:45

1204峰
1.2km 12:15

974峰
2.0km 12:40

三ツ又口
1.5km 13:35
14:40
泣沢登山口
 

 秘境・奥只見の未丈ヶ岳。1500mあまりの山だが、周囲を急峻な山々と深く刻まれた谷に囲まれて、壮大な景観が楽しめる。7月に登った荒沢岳から、雲海の上に突き出た未丈ヶ岳を見て、次はぜひここに来ようと決めていたのだ。

 この未丈ヶ岳を登るには、現在は西側の泣沢からのルートしか無い。尾根に取付いてからは標高差950mを一気に登る。標準タイム8時間40分の少々厳しい道のりが続いているが、両側がすっぱりと切れ落ちた尾根からの展望は素晴らしい。

 泣沢の登山口は、トンネルの非常口のシャッターを開けて外へ出るという、マニアックな登山口として知られている。日本広しといえども、こんな登山口はここだけではなかろうか。当然、案内表示などなにもないので、簡単ガイドを書いてみた。行く人は参考にしてみてください。

   誰にでも分かる未丈ヶ岳登山口の見つけ方

 渡渉あり、崩落地の通過あり、急登ありと、それなりの気合いがいる山である。
 未丈ヶ岳と周辺の山は伝之助小屋に詳しく紹介されている。


 

朝6時。駐車場から続く道を辿って進む。
左に見えるのは、未丈ヶ岳から尾根続きの三角山だろう。
道が崩落している。豪雨の影響だろうか。
足元が崩れそうなので慎重に渡る。
ここも崩落。
ここから沢に降りる。
泣沢を何度も左右に渡りながら、黒又川への合流地点に向かう。所々にテープが付けられているので迷う気遣いはないが、靴を脱いで裸足で沢を渡ると、しびれるほどに足が冷たい。沢登り用のネオプレンソックスなどがあると良いかもしれない。
長靴を履いてきて、尾根の取付きで登山靴に履き替えるひともいるそうだ。
この対岸が尾根への取付きだが、これを渡らなければならない。深い所は腰までありそうだ。

最後の渡渉。
水流が結構強いので、慎重にすり足で進む。
この右側に上がると尾根が始まる。
ここまでコースタイム40分のところを、渡渉に手間取ったので1時間半もかかってしまった。
尾根をぐんぐんと登る。
両脇は結構な絶壁である。
深い谷を挟んで急峻な山々が聳え、なかなかの絶景だ。
背後を振り返ると、鼓ヶ倉山(右奥)が見える。
深く切れ込んだ谷の向こうに荒沢岳が見えた。
3ヶ月前はあちらから未丈ヶ岳を眺めたのだった。
ザレた斜面で足を滑らせると、一気に下まで落ちてしまいそうだ。よそ見して歩いていると危ない。
尾根筋の向こうに未丈ヶ岳が姿を現した。
まだだいぶ遠い。
最初のピーク、974m地点に到着。
周囲が開けて展望が見事だ。
右に荒沢岳がそびえる。
目指す未丈ヶ岳へは、あのピークをさらに越えて行く。
いったん下って松の木ダオという鞍部に進む。
ヤセ尾根なのに木々が茂って涼しい日陰を作っている。
右は絶壁。豪雪地帯なので、雪の重みで曲がってしまったのだろうか。
二つ目のピーク、1204m地点は気がつかずに通り過ぎてしまった。山頂が近い。
未丈ヶ岳に到着。
一休みしていると、次々と単独行の人が集まってきた。一人はここまで3時間で登ったという。明日は荒沢岳に行くそうだ。元気な人である。
荒沢岳 魚沼駒ヶ岳と中ノ岳
狭い山頂から藪をかき分けて南側に回ると、伸びやかな草原が広がっている。素晴らしく気持ちが良い。
山頂まで来て気づかずに帰ってしまう人もいるのだろうが、一見の価値がある。ただ、人々が歩いた跡がくっきりと残っている。多くの人が来るようになると荒れてしまうかもしれない。いつまでもこのまま残って欲しいものだ。
山頂を後にして、急いで下山をはじめた。
せっかくなので麓の温泉に泊まっていきたい。
最初は順調だったが、このところの運動不足がたたって膝が痛み始めてしまった。次第にスピードダウンしていく。
沢にたどり着いたところで、下りの途中で抜いてきた男性に追いつかれた。二人で石を投げ込んで沢を渡る。
渡る要領を教えてもらいながら、先ほどいちいち靴を脱いで渡っていた部分も、岸壁をへつって進んでいく。
それなりのお年に見えるのだが、若者の身のこなしですいすいと進んでいく。地元の方だそうだ。
最後の渡渉を終えたところで、先導してくれた男性と別れてのんびりと歩くことにした。
痛む膝をだましだまし、やや荒れた道を辿る。もう少しで駐車場だ。
登山口に到着。標準タイムぴったりの8時間40分の行程だった。渡渉に手間取ったのと、頂上でのんびりしたのを加味すれば、運動不足にしては上々だ。
大湯温泉で宿を探すことにした。古くからある温泉のようで、大きなホテルと小さな旅館が並んでいる。湯ノ谷交流センターというところに寄って、宿を紹介してもらった。三連休だからねぇ、と言いながら探してくれたのは、ペンションデューク
少し戻ったところにペンションデュークがある。
聞いてみると、一泊8,500円で泊めてもらえることになった。
温泉街を散歩する。
古い温泉で、少し寂れた感じの街並みの中に足湯があった。
ペンションに戻って夕食を待つ。ペンションと言っても落ち着いた和室だったのはうれしい。
この宿は畑もやっていて、自家製の美味しい魚沼産コシヒカリを出してくれる。盛りだくさんの料理にステーキまで付いて、登山後の宿に申し分ない。
翌日、銀山平に寄ってみた。
開高健がここに逗留したのは、荒沢岳のところに書いたが、すっかり現代的になってしまったようだ。
銀山平からさらに枝折(しおり)峠に向かった。
豪雨の影響でただでさえ狭い林道がさらに狭くなっている。枝折峠から先は通行止めになっている。
枝折峠の駐車場。
ここは越後駒ヶ岳の登山口になっていて、50台ほどの車が停められるようになっている。
枝折峠から、昨日登った未丈ヶ岳を望む。
迫力のある姿だ。
枝折峠のバス停。シーズン中の日曜祭日のみ。朝1本、夕方1本だけの運行である。
枝折峠から少し下ると、前回来たときには見えなかった荒沢岳の全容が見えた。


銀山平の遠望。
駒ヶ岳や中岳、荒沢岳に囲まれて、やはり銀山平は秘境だった。

ここがJRのポスターに良く使われる、駒ヶ岳の定番風景だそうだ。名残惜しいが、ここから奥只見シルバーラインのトンネルに戻って、東京へと戻ることにした。


 
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